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月子さんの「花冠」はガールズ・ロックな春望だなんて言ってたけど(笑)もしかしたら虞姫のお歌かもしれん。
ああーいいお歌。切ない…
 
すっかりロックの日を忘れてたのは私です。ロクマサイト様達の素敵イラスト見て、パソコンの前で白く燃え尽きました(苦笑)
ら…来年こそお!…まだやってるかな?出来ると良いな!
ZXA予約も始まったですねぇ…e-cap利用しちゃうと受験生の家にある日突然ゲームソフトが届くという事態が発生し、親不孝も良い所なので(苦笑)発売日にでもお店でこっそり買う予定。
期末考査のすぐあとなので、夏休み前のちょっとした息抜きになりそうです^^楽しみー!
モデルX様もいるし!モデルZもね!イヒヒ!!(?)


てわけで、続き。
今週こなさなきゃならない漢文の週末課題に、ちょろっと呂后様が出張ってらっしゃる件について~。
これだけで、結構やる気出るぞい、ぞい!(分かりやすい)






笑う姫君 3

***





全く不愉快だった。

帝業は滑らかに歯車を回し始め、遷都も済み万事は平和の様相を呈し始めた。…にも関わらず、自分が未だ都の中心で筆を執っていること。

私は戦が終わったならば直ちに暇を頂き隠居したいと、あれほど申したと言うのに。身の回りのものをまとめる暇も与えずに、あれよあれよと片付ける傍から机の上に積まれる竹簡。
まだお前一人を楽にはさせないよ、と陛下の側であの意地の悪い笑みを陳平は口許に浮かべているに違いない。とんでもない者を丞相なんて地位に据えてしまったものだ。


「張良様、只今戻りましてございます」


文机から顔を上げれば、使いに出していた私邸の女官長が頭を下げて戸口に立っていた。


「ご苦労だったね。
すまない、貴方にしかお願い出来ないと思ったのですよ」
 
「そのようなお言葉勿体なく存じます」
 

首を振って、彼女はたおやかに微笑む。


「…それで、件の夫人はどのようなお方でしたか?」


「戚夫人はそれはもう賢く、愛らしいお方ですよ。陛下がお気に入りになるのが女のわたくしでも分かったような気が致します」

「…そう、ですか」





陛下が、第二夫人を召したいと言い出したのは幾日前のことだったか。
英雄色を好むとはよく言ったものだ。陛下はその言葉を体言するかのように女性を好み、戦乱のさなかにも傍らに愛妾をいつも数人侍らせていた。

性穏やかにして決断力も持っていらっしゃる。 
この性癖さえなければ、正に万世に語り継がれる英主たりえるのだが。


「何故、今になってそのような?」


そう問い掛けた私に、陛下―劉邦殿はきょとんとした瞳を向けて「何故って…駄目か?」と問い返す。


「いいえ…陛下は幾人も妾をお召しになります、しかし…」


どうして、いままで呂太后様お一人しかお付けになっていなかった夫人の席を増やすだなんて。
妾などいくらいようとも所詮は端女に過ぎぬから構わないのだが、夫人となると全く違っ
た待遇を施さねばならないことになる。


「良いんじゃありませんか?陛下。折角の泰平の世を迎えましたのに妾ばかりの宮なんて味気ない、私はご賛同致しますよ」

「…陳平殿」


私とは対称位置、陛下の左に控えていた陳平が随分と楽しげに進言した。


「だってそうでしょう?
建ったばかりの我が国において正式に劉氏を継がれる御子は沢山いらっしゃるに越したことはない。古の周王朝のように、親族によって盤石な基盤を築かれるのは良策と小生は考えておりますが?」


そうだろう、わしもそう考えておったのよ!と陛下は膝を叩きながら大声で笑う。駄目だ、この二人の相性は“好色”という点で腹立たしいほど良く、放っておくと何をしだすか分かったものではない。
 
陳平。
品行芳しからずも、神算操る鬼謀の士。
垂らした艶のある前髪に切れ長の眦の偉丈夫。その様子がいかにも軽薄で―実際性根は軽薄な浮華の徒であり―虫が好かぬが、長年共に陛下の左右に侍り続けた私は彼の実力を一番よく知っている。


「ねえ張良殿いかがです、それほど差し支えないでしょう?」

「そうじゃろ?」

「……」


一見、何の問題もないように思える。
ただ一つ心配なのは―


「…呂后様には、なんとお伝えするのですか?」

「む、ぐ…」


子犬のようにきらきらしていた陛下の瞳が、途端に光を無くす。
この人は奥方を愛していながらも、その気性を大分恐れていた。


「きっとお怒りになりますが?」


むぐむぐと唸りながら、しゅんと首を垂れて考え込んでしまわれる。
…どうしてこの方の一挙一動は子供のする愛らしいそれ、そのままなのだろう。立派な体躯に天子の証である龍袍を纏っている訳だから少々滑稽に写るのだが。


「…しかしなぁ、子房。
わしは見ず知らずのおなごを考えなしに迎えたいと言っているわけじゃないんじゃぞ?
以前話したろう、彭城を項羽に追われたとき世話になった父娘がいると」

「…確か、戚氏と申しましたか?」


字の子房で私を呼ばれ、その返答にうむ、と懐かしげに笑みを浮かべて頷かれる。


「あの親子の世話にならなければわしはあの時の項羽の前に自分の生首を晒しておったわ。
子房、この国は一介の農民であったわしが作り上げた国じゃろう?」

「…まあ、さようにございますが」


皇帝となったというのに自分の卑しい出自を隠そうともしない。しかもそれを臣たる私に肯定しろというのだから、この人は面白い。


「ならば農民の妃がおっても良かろう?
呂稚は富裕な家の娘じゃ。貧しい平民の戚を召しとれば釣り合いがとれて民も喜ぶじゃろ?」


「な、な?」と念を押す。この方はこうやって、時たま無我のまま叡知の片鱗を見せる。陳平と眼を交わして苦笑した。
完璧な提案ではなかったが、陛下の民を安んじようとする心に臣が口を挟む道理などありはしない。


「…よく分かりました。陛下のお心のままに致しましょう」


諾々と楽しげに頷く陛下と陳平。
私は一抹の不安を残しながらも、これも平和だからこそのな悩みだと心の隅で苦笑した。


「…呂后様も、きっとお許しになりましょう」







迎えるとなったからには不手際なく、最良の形で迎えたい。
辟村まで赴く一隊を編成しその中に自分に仕える女官の中でもしっかりとした年配の彼女を同行させる。


「わたくしは新夫人のお世話を致せばよろしいのですね?」


出発前にそう尋ねた彼女にいいえ、と首を横に振る。


「一国の妃たるものが田舎娘であってはならぬでしょう。出来る限りで構いませんから、その方が恥をかくことのない程度のことは教えて差し上げなさい」


女官は、ご主人様はお厳しいのかお優しいのかよく分かりませぬと笑った。






「ああそうでした、ご主人様。
宮中からの帰りに陳平様に呼び止められまして、明日参内するようにとのお言伝を承りましたが」

「…私は今度こそ、夫人を送り届けましたら隠居するとあれほど…」


文机の上に溜まった書簡を手に取り丸めながら1つため息を吐いた。
涼しい目に反比例して、にやにやと笑う奴の顔が浮かぶ。


「きっと戚夫人のお目見えにお招きなのでしょうね。ご主人様、私からもお会いになることを是非にお勧めいたしますわ」

「…先程から、随分あなたは夫人の方を持つのですね」


少々棘のある声だなと自分でも思いながら問えば、彼女ははっとして顔伏せてから、小さな声で言う。


「申し訳ございません…戦で失くした娘に、戚様は良く似ていらっしゃったもので…」

「…そうですか」


明日参内致しましょう、と返事を出しておいて下さい。
そう言い捨てて席を立つ。

いまこの都に生きるものでさえ、先の戦争に人生を大きく歪められた者が
ほとんどであろう。
未だ、この戦は完全に終結したとは呼べない。


「…なにを、お焦りあそばせます?」
 

彼女が背中に声を掛ける。


「まだ、あなた様はあちらの世界に未練がおありなのですか?」

「…未練ではないですよ。これは約束です」


振り返りみた彼女は、夕日を背負い黒い影を纏っている。
その中で唯一光る瞳が確かに訴えていた。


どうあろうと、あなたはただの人間だろう、と。


そうかもしれないと、ひどく冷めた心でそう思った。




***

最後の方…書き終わらんくて今10分位で打った…
なんか物足りないし、誤字脱字ありそうなんであとで直すかもー

陳平?
え、ほんと大好きだよ(笑)

好きな人はいじり倒したくなる心理(鬼)
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歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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