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今現在、じゃくちょうさんの世阿弥のお話を読んでるです。

これがね、どエロエロ(苦笑)

そっかーじゃくちょうさんってこんなん書かれる方なのかー、と。
85歳で、と。元気だなー、と(笑)
十代の私は10ページ読むだけでなんか、精力吸い取られて疲れちゃうんですが(苦笑)
でも耽美で優雅。素敵。



サイトの方がいじれそうにないので、ブログの方で長編小説もどきを連載してみようか?と挑戦。
ロクマでやろうとここ一週間プロットを悩んだもののノーアイデアから書き起こすのに1週間じゃあ足りなかったので´`前々から暖めてた楚漢のお話を書いてみますー。
多分、覗いてくださってる方の8割がロクマン目当てでいらっしゃってるだろうと思い…初見でも話が分かるようにと思って書いてますので、お暇でしたら覗いてみて下さいませ。

狩野あざみさんベースの張良さんと、漢帝国の最初を飾るお妃サマ二人のミステリー調のお話になるか と。
ではでは下にリンク。


笑う姫君


***





この数日、とみに感じるようになったあの懐かしい感覚。


鼻孔をくすぐる甘い果実と清らな冷酒の香り。
部屋中に焚き篭めた香は丁度良く差し込む月明かりをけぶらせ、あの遠い日に過ごした幽境の庵を彷彿とさせる。

はて、と思いながら腹のどこかで納得もしていた。
先日弄した一つの計が乱世の終焉に向けた糸口を掴んだのであろうということ。

これで、終局。


『では張良子房、それまでの間もう一局…』


あの不思議な庵でそう言い笑った貴公子の顔を自分は終ぞ、忘れることなく生きてきた。
もうすぐ迎えがくる。
彼と打った七国将棋の後の盤、漢と楚の戦はようやくの決着をみたに違いないのだから。

項羽が死に、そして皇帝となった劉邦も崩じた。
皇太子は惠帝と名乗り帝国の2世になる。


さわ、と帳が音を立てて揺れる気配。梔子の白い花弁が散り、ぽたぽたと音立てて地に落ちる。
視覚に写り込みそうなほどの濃い花の香りに少し眉を顰めたその時、鼓膜を打ったのは小鳥が鳴くようなか細い女の声。


「…張良さま」


この庵にいる飯炊き女の声ではない。
いいや、しかし、この声は知っている。
一度聞いたら忘れまい、鈴の鳴るような愛らしい声。


「張良さま」

「…戚、夫人?」

随分と緩慢な動作で振り返る。自分はひどく間抜けな顔をしていたに違いない。
すらり、と薄紅色の絹の単衣物に身を包み、いくつもの玉を散りばめた金の簪を揺らして、女はそこに立っていた。

戚夫人。
先日崩御した高祖・劉邦の寵姫。
どうしてここに、と問いが口をつく前に彼女の纏う異常な雰囲気に息を呑む。


「ああ、お会いできて良かった」


細い指を胸元に当てて微笑む。
ぷくりとした唇に薄桃色に染まった頬。いつも人を魅了したその容貌が、今は透けるように真っ白だった。


「あなたは…」

「わたし、今朝、死んだんです」

「は…?」


伏した瞳に、鬢から零れた黒髪が掛かる。


「呂后は、私をお許しになりませんでした」


しまった、と全身が総毛立った。
ふらふらと立ち上がり貴人の目の前に歩み寄りひざまずく。
先帝の寵を独り占めにした、若く美しいこの姫君。その口から呂后の名を聞いた時になって自分が何をしてしまったのかに気がついた。


「ああ、お顔をお上げになってくださいな」


戚様は本当に慌てた様子で私の前に座り込み、私の頬に向かって手を伸ばされた。

その感触がない。

細い白磁の指は私の顔に透けて消える。
か細い陽射しのようにして彼女は存在していた。


「私が…っあなたを殺したのですね?」


いいえ、と彼女は首を横に振った。


「張良さまは私に忠告を下さいました。それがどうして?
私、どうして張良さまの元に来てしまったのか、知っているんです」


歪んだ私の顔を憐れむとも蔑するでもなく見つめられて、戚様は続ける。


「事切れる寸前に、初めて張良さまが初めてお会いした時におっしゃった事を思い出したのですよ」

美しく無邪気な姫。
ああ、私は何て愚かな事を。


「死んで、この後どうすれば良いのかも分からないの。
だから、少しお話に付き合って頂けませんか?」


でないと淋しくて、仕方がないと小さな声で続けて。


このお方は戚夫人。
中華の歴史でこれほど理不尽な運命に翻弄された姫君を私は知らない。




***


…そんな感じ。
戚夫人のアイデンティティーって一体なんだったんだ?みたいな話。

続きます。
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歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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