の、のーとん先生のサービスを更新してたらこんな時間…
しかも最新版て画面の上に不愉快な詐欺サイト認証システムが付いてきちゃって非常に不愉快。きィーッ!美しくない!(張コウさんか)
大漢風が手に入らなくて凹む。
ううう…なんでこのご時勢にBS加入してないだよぉ我が家はよぉ…!
でも人気あるから再放送中ってことはなんかの拍子に長吟ちゃんみたくふつーに地上波でやってくれないかなぁ…。
…無理だよなぁ(ぽそっ)
続きっ
妄想先行しちゃって何だか展開が駆け足!
…!か、駆け足…!
そうだ、デモナタの新刊が出てるんだった…!(この呟き分かってくれる人っているんだろうか(笑)
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笑う姫君7 後
***
雲の幕が幾重にも天を覆い、湿った風が南から吹いていました。
「…ゆうだちがきそうです。まどをおしめします」
「……」
少年は背伸びをして縁に手を掛けてゆっくりと朱塗りの木枠の戸を閉めました。湿った空気が重く、息をするのも億劫なほどで。
―陛下の軍は、もう反乱の討伐に向けて戦を始めている頃だと思うと、なお。
結局陛下は私も呂后も伴うことなく燕王討伐に出立されました。お見送りに際しては、私も陛下も呂后も、誰として口を開かれぬままでした。
「ご立派ですよ、夫人。
あなたが毅然と陛下の申し入れをお断りしたことで、陛下は賢者として謀反人を誅することができます」
貴女は正しい、別れ際に陳平さまはそう言われました。
正邪、軍師さまの視点から言われれば確かに私は国の矜持を保つのに一役買うことが出来たのかもしれません。
しかし私はただのひとりの女でしかございません。
それが、己の身の可愛さにお慕い申し上げている陛下を突き放してしまったことは、誰にどう擁護されようとも拭えぬ罪であり、許されぬ悪でした。
「…おやすみになられますか?でしたら、香をたかせますが」
「…ううん、いらないわ」
一人にして欲しいという私の願いに女官達は困った顔で首を横に振り続けました。どうしても、という私にせめてこの子だけでもと付けたのが、僻彊でした。
黙ってばかりの私にするべきことも見付からず、普段と比べると落ち着きなく控えているこの子。可哀想に、もっと早く気付いてあげれば。いつだって私は自分のことしか頭にないのだと思い知らされました。
「…ねえ僻彊、何かお話をして下さらない?」
「おはなし、ですか?」
僻彊はほっとした様子で寝台に腰掛けた私を見つめて、小さく首を傾げました。
「そう…出来ればね、お伽話がいいの」
この子の頭に詰まっているのは礼記や歴史だとは知っていましたが、いつものように、それを学び取る姿勢を作るだけの気力が今の私にはどうしてもなく。
無聊を慰めたい訳ではありません、ただ求めていたのは一瞬の間の逃避でした。
「駄目だったら、無理しなくていいんだけど…」
「…では、ちちうえのはなしでも、かまいませぬか?」
「張良さまの?」
『余計なことをするな』
お名前を口に出して、初めてお会いしたときに言われた言葉をまざまざと思い出し胸が重くなりました。
はたして、今の私はあの戒めを守っていると言えるのでしょうか。
「ちちうえはむかし、始皇帝をあんさつしようとくわだてたのだそうです」
「ええ、そう聞いてます」
もう何十年も前、六国を滅ぼし大陸を統一した最初の皇帝は厳しい法と労役で国民を縛っておりました。
張良さまの一族は六国の一つ、韓に長年仕えていた宰相の家柄だったのですが、始皇帝の秦国によって韓は滅ぼされてしまったのです。その混乱の中で張良さまのお父上は亡くなり、若くして張良さまは張家の統領になられたのでした。
「ちちうえは家財をなげうち、始皇帝にふくしゅうをちかいました」
「でも…上手くいかなかったのだそうね」
張良さまは大陸を旅して回り、辺境に住む一族から強固で巨大な大男を借り受け、その男の力を借りて各地を巡幸する始皇帝の馬車に鉄槌を打ち込んで暗殺しようとしました。しかし鉄槌が当たったのは始皇帝が乗っているのとは別の車で、大男は兵士らに取り押さえられ拷問死。張良さまは辛くも逃げおおせ、在野に身を隠されたのでした。
有名な博浪沙の事件。
その現場は陳平さまの故郷にほど近い平野で「まさか天下の大逆賊と一緒に天下を取ることになろうとは、その時は夢にも思いませんでしたよ」と笑いながら、まるでその場に居合わせたかのよう、つぶさに当時の様子を語り聞かせて下さったのでした。
私はそのお話を聞く度に、あの小柄で線の細い張良さまにそこまでさせた復讐心の強さを思うのです。
憎しみに覆われた凄惨な美貌。想像しようと試みて、脳裏に浮かんだのは―あの時の、呂后のお顔でした。
「へいしたちからにげるさいちゅうにまよいこんだ山中で、ちちうえは仙人にあったのだそうです」
「…仙人?」
「ふたりおられて、なをたずねると“赤松子”と“太公望”となのったのだと」
「……“子は怪力乱神を語らず”って言葉を私に教えてくれたのは、僻彊よ?」
人は不思議な怪異や、訳の分からない事物を信じたり語ったりするべきではない、という孔子の言葉。
「しかし、ちちうえがそうおはなしくださいました」
「そう、よねぇ…」
あの張良さまがそんな嘘をお付きになるとは思えません。
赤松子といえば太古・神農の時代を生きた仙人。太公望といえば何百年も昔、周という国の王に仕えて悪逆の限りを尽くした殷の紂王を放伐した大軍師。
この大陸に住まう者なら、僻村の子供達ですら知っている伝説に語られる人々です。
本当に、お伽話の世界。
「ちちうえは赤松子にきにいられて、仙界につれていかれそうになったのですが太公望のくちぞえで人界におくりかえされました」
「太公さまは、張良さまに何ておっしゃったんです?」
「おまえは始皇帝をころすことはできない、しかし秦をほろぼすのはおまえだ、と」
「……」
張良さま無くして果たして陛下はこの国を建てることは出来たでしょうか。
あのお方は、明白なる天命を受けて陛下を支えてこられたのだとでもいうのでしょうか。私達とは違う雰囲気を纏っていらっしゃったのも、何処か遠くをいつも眺めていらっしゃったのも、あのお方は幽境に足を踏み入れた者であるからなのでしょうか。
「すべてにかたがついたら、またあおう。仙人はそうともいいのこしました」
「全てとは…?」
分かりません、と僻彊は俯き首を横に振りました。
「しかし…ちちうえは、このはなしをされたあとにもうされました。もうすぐかれらがわたしをむかえにくるのだ、と」
「僻彊…」
いつも明朗で澄んだ声が、小さく震えたのを私は聞き逃しませんでした。
「だから、わたしがいなくなっても、ふじゆうなくいきていけるよう、いまからしゅうれんをつむように、と」
小さな両手を手に取りました。いつも書き物をしている、小さな白い指。
「ひとがいずれさりゆくのは、よの“せつり”だとしょうせいはおもいます。
しかし、できるかぎりそれがさきのことであればいいのにと、みじゅくなこころはそう、ねがっています」
「…そうね」
今の顔を、矜持の高いこの子は人に見せたくないでしょう。引き寄せて、包むように抱きしめました。
「しょうせいは、ちちうえとも、おじうえとも、ふじんとも、もっとおはなしがしたいです。
ですから…ふじんが、あぶないめにあうことがなくなって、よかったとおもいます。へいかも、いまごろそうかんじていらっしゃるとおもいます」
「……そう、ね」
優しい子。
私を慰めようとしてくれているのです。
そう遠くない、父との訣別を目の前に突き付けられていながら、心を折らずに精一杯に今を生きている子。
「私ももっともっと、陛下や僻彊とお話ししていたいわ」
小さい背中を撫でながら、私の口から洩れた言葉は本心。
でも―
遠くから、地鳴りのような落雷の響きが届きました。湿り気を帯びた風も、少し冷たく。
「…あめが、ふりだしそうです。くらくなるまえに灯をおもちします」
「いいのよそんな、急がなくても…」
「いいえ、しょうせいはふじんの“じじゅう”ですから」
決まり悪そうに瞳を擦り、私から体を引き離して小さな侍従は仔犬のように回廊へと走り出ました。
「……」
…私が危ない目に合わなくて良かった。
幼い擁護を思い出し小さく笑みを刻み、しかしその顔を保つことは出来ませんでした。
そうじゃないのです。私の罪はそれによって消えることも軽くなることもないのです。
全ての誤りは、私が陛下と出会ってしまったこと。
あの日、あの時、私はあの親子を知らぬ内に、めちゃくちゃに引き裂いてしまっていたこと。
その事も知らずに、呂后や劉盈さまの前で陛下の有り余る愛情を受け取っていたこと。
私が陛下をお慕いしている限り、陛下達は真の意味で心安まる日は決して来ないということ。
「っう…」
眩暈。
陛下の途方に暮れた幼子の叫びが、呂后の冷え切った笑い声が、あの日以来私を苛み続けます。
私に生きていて欲しいとあの子は言った。でも、それによって私は誰かを幸福にすることが、果たして本当に出来るのでしょうか?
思考の先、帰結する結論は決まっていました。
真白い光。稲妻に世界が一瞬漂白されたかのように、熱のない白で染め抜かれました。
『余計なこと』とは。
そんなこと、少し考えれば分かることではありませんか。
雷鳴。
「私なんて、最初から居なければよかったのに…」
「いいえ」
耳を付いた低い声に、ゆっくり顔を上げました。
戸口に立つ、長い人影。
再び照らす稲光に浮かび上がったお顔は見知ったもので。
「劉盈さま…」
どうしてここに、と私が呆けた顔をしているのに気付かれてか、はっとした様子で「失礼しました」と小さくおっしゃいました。
「お義母さまがふさぎ込まれておられると侍女らが申しているのを聞きました…お見舞いを、と思って参ったのですがどこにも侍従らの姿が見当たらなかったので…」
「…私が下がらせたんです。一人にしてほしいって…」
「左様でしたか…」
いつも、優しく私に接して下さる皇子。
このお方も、私のせいでどれだけの辛酸をお舐めになられたことかと思うと真っ直ぐお顔を見ることが出来ませんでした。
「……」
いくらかの沈黙の後、不意に口を開かれたのは皇子でした。
「…お義母さま、私、小さい頃から一度も喧嘩に勝ったことがないんです」
「え…?」
「十くらいまでは、沛の町で農民の子として育ちました。
父上は小さい頃から体も大きくて強くて、夏侯嬰殿や樊檜殿を従えて町中を闊歩していたそうですけど…私は小さい頃からひょろひょろのチビでしたから、誰も従えることなんか出来なかったんです」
眉を寄せて、いつものような寂しげな笑みを浮かべました。
「だから、父上は僕のこと嫌いなんです」
「そんな…」
突然の告白に、上手く二の句を継げない私を待つでも無視するでもなく、皇子は続けられました。
「母上はそうおっしゃる父上をいつも諌められて、父上はそれに妥協されませんから…たまに諍いが起こりました。私は、その原因が自分だと思うと辛くて。自分なんかいなければ良かったのに…って思っていました」
「……」
「彭城で私は死んでしまうつもりだったんです。でも死に切れませんでした。ですから…生きることに際して、決めたんです」
「……」
「僕は父上の影として、我の無い皇太子として生きていくのだと」
そうして、浮かべるいつもの笑顔。
「そんなの、悲し過ぎます…」
「良いんです、私が自分で決めたのですから。
母上だってそう、父上の事を愛し続けると自らお決めになりました。
私も、母上も、宿命から逃げようと思えばいくらでも逃げる機会はありました。でも、そんなことしません」
「どうして?」
余りにもはっきり、そう断じる皇子は私の知るいつも人形のように笑っている彼とは違いました。そのお声に宿るのは確かな陛下の名残、強く人に刻み付ける力をお持ちなのです。
「私は、人の上に立つ才で父上には決して敵わない。ですから、こうやって生きていくんです。私自身の、劉家の、そしてこの国の為に。
でも、母上は強い方ですから父上をこの先も決して諦めないと思うんです」
「っだから、私がいなくなれば済むことでしょう…!」
「そんなの、逃げじゃないですか」
私は伝う涙を拭うこともせず、目の前に立つ皇子を見上げておりました。
暗い影を背に背負い、稲光に横顔を青白く染め上げられて、その口から容赦のない追求を続けるのです。
「お義母様は、自分の意思でまだ何もお決めになってはおられない。
父上を受け入れられたのも、ここへ来たことも、父上を愛することさえも」
「違う!」
再び轟く雷鳴。鉛色の雲間に走る、青く光る龍。
声を発した私自身が驚く程の悲鳴じみた大声に、劉盈さまも瞳を丸くされていました。
「…違いますっ私は…私は、陛下のことを…!」
「お決め下さい、お義母様」
「……な、にを?」
髪を乱し、途方に暮れて泣き続ける私に笑みも無くなされる宣告。
「何を捨てて、何を得るのか。
貴女は優しいお方、裏返せばひどく臆病なお方です。両手に何でもかんでも抱え込み過ぎて身動きを取れなくなっている。
全てを手に入れることなんか、人には出来やしないんです」
「私が…本当に欲しいものを?」
「そうです。この宮中で生きてゆくのならば、どうか覚悟をお立て下さい。
…さもないと…でないと、このままじゃ…貴女様は母上に殺される…!」
「劉盈さま…」
…この人は何故こんなにも優しいのでしょう。私に忠告と、覚悟と意思を授けに来られたのです。
そのことが唯一の存在であるお母様を裏切るという、癒し難い痛みを背負うことになると分かっているのに。
私の大切なもの、本当に欲しいもの。
本当に、求めていたもの。
私は、本当に、陛下を―
「お選び下さい。そうしたら、顔を上げてお笑いになってみせるんです。
選び取ったその道を、挫けず歩き通す為に」
「私は…」
「笑って、お義母様」
伸ばされる手。
ざあざあと喧しく鳴る雨音に掻き消されぬ明瞭さを伴って、畏れと己が意思の間に紫暗の瞳を揺らしながら、皇子は笑みを刻まれます。
「笑って?」
「っわたし…」
「…笑って、戚」
「……」
一際大きな雷が落ちる音がしました。
その音に、私の返答は消されてしまったでしょうか。
その時、私が口元に浮かべていたものが青い光りの中にはっきりと映し出されたであろうことを、私ははっきりと自覚しておりました。
***
…薄姫さんのことも書きたかったりするんだけど…どうだろう?
飽和しちゃうかな??
次はいきなり数年後、韓信やら英布の件の事件辺りに飛ぶ予定。
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オブラートに包まぬ、日々と趣味とつれづれ。
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白太
性別:
女性
職業:
文系学生
趣味:
お絵かき・雑多読書
自己紹介:
日々をいかにポジティブに生き抜くかを目標に、少しの事でネガティブ観点に陥る、ありがち日本人。
歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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