HAPPY HAPPY 20th
BIRTHDAY!!
***
あの子の綺麗な、透明なアルトがわしの耳には未だこびりついている。
「それ…なんて言うんだっけ…?」
唄い終えたタイミングを見計らって僕はあの子の背に声を掛けた。僕の横で珍しく静かに座っていた彼がはっと僕を笑った。
「嘘だろぉライト?こんな事も知らねーなんて小学生以下…」
「あ、アルバート知ってる?何て言うんだっけなあ…この歌のジャンル」
「え、そ、そりゃお前あれだよ、ほら。あれだって…あれ」
「…もー、二人とも常識力の欠如が激しすぎ!」
腰に両手を当てて、ステージから彼女は僕らを叱るように大きな声をかけた。にっと笑うその歯は真っ白。
「ゴスペル!賛美歌よ、クリスマスとかの」
「そーだ、『天使にラブソングを』!」
「そう、それ!
全くもお…二人とも研究熱心なのは良いけど、将来偉い博士になって大きなパーティーなんかに呼ばれたときそんなんじゃ格好付かないじゃないの。有名な歌手とかにさ『Hello,Dr.ワイリー。私の新曲のユーロビートはお気に召したかしら?』なんて聞かれたらどうする?アルバート?」
「う…っ」
僕らは顔を見合わせた。僕の髪は天パでもしゃもしゃ、アルバートの髪も鳥の巣みたくボッサボサ。そしてふたりとも着ているのはオイルに汚れたボロボロの白衣。
これでは確かに、世界一のロボット工学院の人間と言うには忍びない。
「そ、それじゃあよアリア。このカレッジ一の歌姫のあんたに声楽の奥深さをご教授願おうかな?」
「あ、ぼ、僕も!」
「声楽?またそんな固い言い方!だからいつまでもあんた達には女の子が寄って来ないのよ」
ぐさっと見えない矢で心臓を射抜かれうなだれる冴えない理系男を見て、声楽科の我らがマドンナは鈴のような声を上げて笑った。
「楽しく!あんた達もロボット作っててすごく楽しいんでしょ?私もそう。
そうね…そう、ゴスペルには張りのあるフォルテを!」
くるんとステップを踏んでステージの上で彼女はドレープの沢山着いたスカートをふわりと膨らませた。
「寂しい歌も大好き。タンゴにブルース、人の心を写し込んで歌いたい」
「フォルテに…」
「…ブルース」
チカッと頭の中でその音の響きに何かが光った。今思えば、アルバートも同じような感覚をその時味わっていたに違いない。
正に天啓。
このカレッジの小さな講堂。クリスマスを目前に控えて偶然巡り合った三位。それが一体に。僕もクリスチャンの端くれだったからこの出会いに運命を感じずにはいられなかった。
―De trinitate.
世界の始まり。
喜びと悲しみと繁栄と殺戮と破滅と再生を繰り返す、ゼロから無限へと広がる、美しい螺旋の世界の始まりの日。
「でもね、私が一番好きなのは勿論思うままビートを刻むROCK'N'-ROLL!」
憧れの少女の笑顔に僕もつられて微笑んだ。
そうして、僕はこの冴えない白衣と両手で、この笑顔を守り得る存在を創造してみせようと神への驕りを情熱で包んで大切に胸の真ん中へと据えたのだった。
***
日付変わってもーた…orz
ハッピィバースディ、ロック!
以前上げた若かりし善玉悪玉博士妄想でお祝…えたかな?(苦笑)
ロックマンとはもう10年以上のお付き合い。
エックスシリーズから入ってDASHにもお世話になって自然とゼロ・ZXにもお世話になってその合間に本家にも…メガミックスやらエアーマンやらおっくせんまんも!
今でもSFでロックマン以上にワクワクと切なさをくれた作品を知らないし、大事なものをこの作品から沢山もらったし。
願わくば大好きなエックス達に納得のいく戦いの結末が用意されていることを。そしてそれを拝む日が来ることを切に、ホントに切に(苦笑)祈ってます。
“懐かしい未来”へ彼らがたどり着きますように!
これからも細々応援してるよーう!

BIRTHDAY!!
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あの子の綺麗な、透明なアルトがわしの耳には未だこびりついている。
「それ…なんて言うんだっけ…?」
唄い終えたタイミングを見計らって僕はあの子の背に声を掛けた。僕の横で珍しく静かに座っていた彼がはっと僕を笑った。
「嘘だろぉライト?こんな事も知らねーなんて小学生以下…」
「あ、アルバート知ってる?何て言うんだっけなあ…この歌のジャンル」
「え、そ、そりゃお前あれだよ、ほら。あれだって…あれ」
「…もー、二人とも常識力の欠如が激しすぎ!」
腰に両手を当てて、ステージから彼女は僕らを叱るように大きな声をかけた。にっと笑うその歯は真っ白。
「ゴスペル!賛美歌よ、クリスマスとかの」
「そーだ、『天使にラブソングを』!」
「そう、それ!
全くもお…二人とも研究熱心なのは良いけど、将来偉い博士になって大きなパーティーなんかに呼ばれたときそんなんじゃ格好付かないじゃないの。有名な歌手とかにさ『Hello,Dr.ワイリー。私の新曲のユーロビートはお気に召したかしら?』なんて聞かれたらどうする?アルバート?」
「う…っ」
僕らは顔を見合わせた。僕の髪は天パでもしゃもしゃ、アルバートの髪も鳥の巣みたくボッサボサ。そしてふたりとも着ているのはオイルに汚れたボロボロの白衣。
これでは確かに、世界一のロボット工学院の人間と言うには忍びない。
「そ、それじゃあよアリア。このカレッジ一の歌姫のあんたに声楽の奥深さをご教授願おうかな?」
「あ、ぼ、僕も!」
「声楽?またそんな固い言い方!だからいつまでもあんた達には女の子が寄って来ないのよ」
ぐさっと見えない矢で心臓を射抜かれうなだれる冴えない理系男を見て、声楽科の我らがマドンナは鈴のような声を上げて笑った。
「楽しく!あんた達もロボット作っててすごく楽しいんでしょ?私もそう。
そうね…そう、ゴスペルには張りのあるフォルテを!」
くるんとステップを踏んでステージの上で彼女はドレープの沢山着いたスカートをふわりと膨らませた。
「寂しい歌も大好き。タンゴにブルース、人の心を写し込んで歌いたい」
「フォルテに…」
「…ブルース」
チカッと頭の中でその音の響きに何かが光った。今思えば、アルバートも同じような感覚をその時味わっていたに違いない。
正に天啓。
このカレッジの小さな講堂。クリスマスを目前に控えて偶然巡り合った三位。それが一体に。僕もクリスチャンの端くれだったからこの出会いに運命を感じずにはいられなかった。
―De trinitate.
世界の始まり。
喜びと悲しみと繁栄と殺戮と破滅と再生を繰り返す、ゼロから無限へと広がる、美しい螺旋の世界の始まりの日。
「でもね、私が一番好きなのは勿論思うままビートを刻むROCK'N'-ROLL!」
憧れの少女の笑顔に僕もつられて微笑んだ。
そうして、僕はこの冴えない白衣と両手で、この笑顔を守り得る存在を創造してみせようと神への驕りを情熱で包んで大切に胸の真ん中へと据えたのだった。
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日付変わってもーた…orz
ハッピィバースディ、ロック!
以前上げた若かりし善玉悪玉博士妄想でお祝…えたかな?(苦笑)
ロックマンとはもう10年以上のお付き合い。
エックスシリーズから入ってDASHにもお世話になって自然とゼロ・ZXにもお世話になってその合間に本家にも…メガミックスやらエアーマンやらおっくせんまんも!
今でもSFでロックマン以上にワクワクと切なさをくれた作品を知らないし、大事なものをこの作品から沢山もらったし。
願わくば大好きなエックス達に納得のいく戦いの結末が用意されていることを。そしてそれを拝む日が来ることを切に、ホントに切に(苦笑)祈ってます。
“懐かしい未来”へ彼らがたどり着きますように!
これからも細々応援してるよーう!
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オブラートに包まぬ、日々と趣味とつれづれ。
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白太
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女性
職業:
文系学生
趣味:
お絵かき・雑多読書
自己紹介:
日々をいかにポジティブに生き抜くかを目標に、少しの事でネガティブ観点に陥る、ありがち日本人。
歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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