雨は昨夜から降り続いている。
湿った土の匂いはもう消えて、ただ鬱屈とした重い空気だけが漂う。
本当に気が滅入ってきたように思えて痛む首を上げれば、目の前の少年は未だ飽きる事なく竹簡を読み耽っていた。
「…楽しい?」
「楽しいよーぉ」
顔を上げずに、間の抜けた声を蕭何は俺に返した。
降り続く雨にやる事も浮かばない俺は、何を思ったか学問所に顔を出してみた。するとそこには見知った顔が。
聞けば、この男は日がなこのように先生の書庫に入り浸っているという。
他の学友はどうせつまらない金ばかり食う遊びを屋敷の中でしているだろうに、変わった奴だ。
「…刑罰法?そんなの読んでるから退屈しちゃうんだよ。詩に伝記、いっぱいこの書庫には楽しいのがあるじゃない」
「…蕭何と違って、俺にはそーゆーもんは必要ない」
彼の笑顔がさっと曇ったのを見て少し後悔、だが素直な気にもなれず俺は頬杖をついてそっぽを向いた。
周りの金持ち共に陰口を叩かれるのにはもう慣れたが、そりゃいくら時間が経とうといい気にはなれない。
代々の端た役人、獄舎番。最低でも読み書きが出来ねば始まらないと、ある日泥に塗れて遊び回る友達から引き離されて学問所へと送り込まれた。
裸足に擦り切れた短衣で向かった俺を迎えたのは、スカした顔した商人や役人の子息たち。
同い年の者達から蔑む瞳を向けられたのはそれが初めてだった。
「…僕さ、一人遊びが得意でね」
前に座る彼が言う。
「人を見てるのが楽しくて…気付いたら、その輪に入るの忘れててさ」
「…阿呆だな」
「でしょ?」
「蕭何らしいが」
ふふ、と笑って少年は頬をかく。唯一、良家の子息らの徒党からぽつん外れていたのは彼だった。
「まあ、周りに一緒に笑いたいと思えた人はいなかったんだ。ああ、でも外の世界にはいたんだよ」
「…?」
首を傾げた俺に、蕭何もええと、と頭を捻る。
「あー…村の人はああ言うけど。劉家の出来損ないって」
「季のことか?」
そう、それだ、と笑った。
「その劉季と…君たちと」
何やら自信に満ちた目で蕭何は俺を指差すものだから、いつも村の年長者にくれてやる悪たれの顔で見据えてやった。
「俺らは村の弾かれ者だが?蕭家の坊っちゃん?」
「僕も金持ち共の弾かれ者だが?」
にやりと笑う。なんだそれは。
俺の口はぽかんと開いていたに違いない。
「だからねえ…」
くんと、コイツが唾を飲んだのとその声が少し震えていたのは覚えている。
「僕を、君たちの仲間に入れてくれないかい?」
その上目に俺を見る目が真剣で、俺がそれをひどく嬉しく感じたことも。
俺は蕭何の手を引いた。そのまま雨の上がりかけた村の中へ踊り出る。
「ちょ…まだ雨…!」
「劉季のトコへ行くんだろ、なら今だ」
雨上がり、あれは龍が見えると言っては、いつも一人で野っ原にぽつんと立っている。
***
雨…!!
勘弁してくりゃ…テンションがローだ…。
世間様のステキーな蕭何と曹参の熟年夫婦みたいなアレを私も表現したいんだが…アルェー?
蕭何+劉邦、曹参+韓信のイメージが強いんだな。蕭何の死に際のエピソードは大好きなんだけど…あれから考えると後年は本当に仲悪そうなんだけどな?あれか、これもVS呂氏への布石な訳?丞相さん方。裏で実は仲良し…おおう…ッ!それは切ねェ…!
蕭丞相の治める法の何事にも通ず安らかなこと。
曹丞相の治める法を何事も変えぬ安らかなこと。
何も手を下さぬ安らかさ。何も手を加えぬ安らかさ。
だっけ?民間伝承の流行り歌。大筋は合ってるハズ…よ…!(;^ω^)
良いよなあ、この歌。刎頚並の友情だとおも。
あれ…なぜ陳丞相には言及しないんだ、この歌(笑)
全身に70の傷ってエピソードも…そんなに戦ってるイメージないんだけどな曹参に。実は単に激弱とかそーゆーこと?(笑)
後年はお仕事しない飲ん兵衛大臣だし(※呂后の目をを欺くための巧妙な演技だそうです^ω^)
取り敢えず理解を深めようと出会いを妄想してみた件。沛組の子供時代は基本しあわせが良いです。
湿った土の匂いはもう消えて、ただ鬱屈とした重い空気だけが漂う。
本当に気が滅入ってきたように思えて痛む首を上げれば、目の前の少年は未だ飽きる事なく竹簡を読み耽っていた。
「…楽しい?」
「楽しいよーぉ」
顔を上げずに、間の抜けた声を蕭何は俺に返した。
降り続く雨にやる事も浮かばない俺は、何を思ったか学問所に顔を出してみた。するとそこには見知った顔が。
聞けば、この男は日がなこのように先生の書庫に入り浸っているという。
他の学友はどうせつまらない金ばかり食う遊びを屋敷の中でしているだろうに、変わった奴だ。
「…刑罰法?そんなの読んでるから退屈しちゃうんだよ。詩に伝記、いっぱいこの書庫には楽しいのがあるじゃない」
「…蕭何と違って、俺にはそーゆーもんは必要ない」
彼の笑顔がさっと曇ったのを見て少し後悔、だが素直な気にもなれず俺は頬杖をついてそっぽを向いた。
周りの金持ち共に陰口を叩かれるのにはもう慣れたが、そりゃいくら時間が経とうといい気にはなれない。
代々の端た役人、獄舎番。最低でも読み書きが出来ねば始まらないと、ある日泥に塗れて遊び回る友達から引き離されて学問所へと送り込まれた。
裸足に擦り切れた短衣で向かった俺を迎えたのは、スカした顔した商人や役人の子息たち。
同い年の者達から蔑む瞳を向けられたのはそれが初めてだった。
「…僕さ、一人遊びが得意でね」
前に座る彼が言う。
「人を見てるのが楽しくて…気付いたら、その輪に入るの忘れててさ」
「…阿呆だな」
「でしょ?」
「蕭何らしいが」
ふふ、と笑って少年は頬をかく。唯一、良家の子息らの徒党からぽつん外れていたのは彼だった。
「まあ、周りに一緒に笑いたいと思えた人はいなかったんだ。ああ、でも外の世界にはいたんだよ」
「…?」
首を傾げた俺に、蕭何もええと、と頭を捻る。
「あー…村の人はああ言うけど。劉家の出来損ないって」
「季のことか?」
そう、それだ、と笑った。
「その劉季と…君たちと」
何やら自信に満ちた目で蕭何は俺を指差すものだから、いつも村の年長者にくれてやる悪たれの顔で見据えてやった。
「俺らは村の弾かれ者だが?蕭家の坊っちゃん?」
「僕も金持ち共の弾かれ者だが?」
にやりと笑う。なんだそれは。
俺の口はぽかんと開いていたに違いない。
「だからねえ…」
くんと、コイツが唾を飲んだのとその声が少し震えていたのは覚えている。
「僕を、君たちの仲間に入れてくれないかい?」
その上目に俺を見る目が真剣で、俺がそれをひどく嬉しく感じたことも。
俺は蕭何の手を引いた。そのまま雨の上がりかけた村の中へ踊り出る。
「ちょ…まだ雨…!」
「劉季のトコへ行くんだろ、なら今だ」
雨上がり、あれは龍が見えると言っては、いつも一人で野っ原にぽつんと立っている。
***
雨…!!
勘弁してくりゃ…テンションがローだ…。
世間様のステキーな蕭何と曹参の熟年夫婦みたいなアレを私も表現したいんだが…アルェー?
蕭何+劉邦、曹参+韓信のイメージが強いんだな。蕭何の死に際のエピソードは大好きなんだけど…あれから考えると後年は本当に仲悪そうなんだけどな?あれか、これもVS呂氏への布石な訳?丞相さん方。裏で実は仲良し…おおう…ッ!それは切ねェ…!
蕭丞相の治める法の何事にも通ず安らかなこと。
曹丞相の治める法を何事も変えぬ安らかなこと。
何も手を下さぬ安らかさ。何も手を加えぬ安らかさ。
だっけ?民間伝承の流行り歌。大筋は合ってるハズ…よ…!(;^ω^)
良いよなあ、この歌。刎頚並の友情だとおも。
あれ…なぜ陳丞相には言及しないんだ、この歌(笑)
全身に70の傷ってエピソードも…そんなに戦ってるイメージないんだけどな曹参に。実は単に激弱とかそーゆーこと?(笑)
後年はお仕事しない飲ん兵衛大臣だし(※呂后の目をを欺くための巧妙な演技だそうです^ω^)
取り敢えず理解を深めようと出会いを妄想してみた件。沛組の子供時代は基本しあわせが良いです。
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女性
職業:
文系学生
趣味:
お絵かき・雑多読書
自己紹介:
日々をいかにポジティブに生き抜くかを目標に、少しの事でネガティブ観点に陥る、ありがち日本人。
歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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