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模試、世界史に大差付けて現代社会のほうが優秀なワタシて!\(^O^)/
落ち込むほどの高得点…現社つーよりあれは常識力テストだったわ…これはニコニコ政治部とよしりんのお陰(苦笑)
福田しゃんは某リストランテ漫画系のおじい様ですよ ね。紳士、老眼鏡紳士(笑)今横で記者会見の中継やってるわー…

…世界史がなぁ……英語も。
現国は漢文が愛しの晏子だったから幸せー小走り小走り!



続き!
終わりが見えてきたけど、まだ何本か分岐があって悩んでる脳内サウンドノベル状態(それどんな見切り発車?)
テンソン上げようとC/o/c/c/oと鬼/束ち/ひ/ろと新/居/昭/乃(白太の琴線直撃の敬愛する中二病シンガーソングライター三傑)をガンガンのフルリピートで打っとりますー。



笑う姫君 13



***


名を呼ばれて叩頭の姿勢から頭を上げ、始めて近くで視界に写したその容貌に私は息を呑んだ。私の頭の中にいる彼と、目の前にいる彼にはどこかぶれるような違和感。


「…お久しぶりでございます。ご機嫌麗しゅう、陛下」

「ふん、そこらじゅうで反乱起こされてる皇帝の機嫌が麗しいわけないじゃろうが」


尊大さの中に独特の愛嬌を含んだ声と返答に、懐かしさと彼との間に開いてしまった距離をまだ取り返しようがあるのではないかという安堵を感じた。
だが、以前と比べると立派だった体躯は小さく萎んで憔悴し―“老人”という形容が似合うようになっていたことは私をひどく虚しくさせた。


「で、何年も引き篭っておったお前が何の用があって出てきたのだ?」

「陛下のお力にならんが為に」

「…どーせ、お前もわしの機嫌窺いが本当の目的じゃろうがな」


また、最初に感じた違和感が陛下の顔に陰った。なあ、と横に控える戚夫人の肩を抱き寄せ「誰も彼も、お前以外はてんで信用できんなぁ」と囁く。
ぶれる例の違和感の正体と陛下の顔が重なった。今の陛下は―あの始皇帝と同じものを纏っているのだ。以前一度だけ見たあの男は他の誰も持ちえない威厳を纏いながらその瞳には物憂げな光が膜を張っていた。
今まで陛下はこのように退廃的な表情など一度も浮かべたことなどなかったのに。神に等しい権力を手に入れてしまった者が辿るのは同じ末路ということか。
いいや、一つだけ違う事がある。始皇帝は己以外を誰も信じることをしなかった、だから秦という帝国はあの男の生きている間は燦々と威光を放ち続けることが出来たのだ。それに引き換え陛下は例外的に戚夫人にだけは心を許している。これでは臣下達に疑念や不満しか抱かせない。
かの女人は長い睫毛に濡れた瞳を隠し、真珠のように白い指を陛下の腕に絡ませ、誰に呉れるともない笑みを柘榴のように朱く熟れた小さな口唇に浮かべている。そのさまに、私は身震いがした。


「最近はあの女が暇があればわしに侃々と喚くから、おちおち休んでもいられんのだ」

「…では、私も陛下の安眠を妨げる者の一人になってしまいますな?」


は?と一瞬呆けた顔をされた後、私の言わんとすることを理解してか憮然とした表情を成して玉座に深く座り直す。


「英布の奴めの討伐には盈を行かせるぞ。もうわしの決めたことじゃからな」


誰に何度言われても変える気など無いということを、強く付け足さる。


「わしの跡を継ぐ者がこんな反乱の一つや二つ潰せなくてどうする?わしは盈の為を思ってその力を試す場を与えてやると言っておるのに、呂雉は無理だ危険だ止めさせろとわしに縋り付いては喚いて聞かん。
あやつがああやって必要以上に庇いよるから…あれは女の腐ったような儒子になってしまったんじゃ」

「…劉盈様の為だけではなく、陛下の為に呂后は進言されたのだと私は思いますが」


私の言葉に不快げに眉をしかめられたが、反論はなさらない。まだこの人は人の諌言に耳を貸すことが出来るのだと信じ、私はつぶさに現状をこの方に説明することにした。


「英布の軍は打ち込まれた楔のごとく、この都に進んでおります。到達するに猶予は数ヶ月では余ります、数週間です」

「知っておる」

「対してこちらには彼を確実に討つことが出来ると断言出来る者はもはや既にございません」

「樊檜や曹参がまだおる」

「陛下、臣は皆あなたの御威光のもとであれば親征することを厭いませんのですよ。それを―」

「わしはもう戦なんぞ御免じゃ!」


怒鳴り声に夫人が肩を強張らせ小さくなった。私も国家の大事に訳の分からないことを言うこの人に呆れ、昔のように言い返してしまう。


「何をそんな我が儘を…」

「煩い!わしは疲れた、もう嫌じゃ!これ位の事で崩れてしまうような脆い国なぞわしはいらん!」

「国とは主の細やかな采配あってこそ栄えるのです。それを陛下がそのようでは…」

「黙れ!」


上座から立ち上がった陛下は、脇の卓に置かれていた杯を私に向かって投げ付けた。高い音を立てて目の前の床で砕けた夜光杯。


「今頃出て来て口を出すな!魯綰も韓信も英布も、皆わしを裏切った!お前もどうせそうじゃろう?
そうじゃ、お前は賢いものな、老いぼれたわしをそんなに早く殺したいか?一体何を企んでおる?」

「そんな…」


このような彼を私は知らない。どんなに人を罵倒しようと、その中に必ず情を忍ばせていたあの人はどこに消えてしまったのか。
この人は―もはや、劉邦殿ではない。


「ねぇ…陛下」


不意に、私の鼓膜を鈴のように愛らしい声が打った。


「陛下…私と、如意はどうなりますの?」

「戚…」

「陛下の心痛は私も痛いほどに理解しております…でも、陛下のご活躍が望めないと言うことは恐ろしい賊がこの都に押し寄せるのでしょう?」


怖い、と小さく口に乗せ陛下の腕に縋り付いた。


「ですが、それが、陛下の御意思でしたら…戚はそれに殉じますわ」


上目に陛下の顔を見つめ、瞳から一筋の涙を流すその姿は完成された一枚の絵のようで、気付かぬうちに私はその様子に見とれていた。おお、おお、と絞り出すように陛下は声を上げて両手で夫人の肩を抱く。


「そうか…怖い思いをさせてしまったな。ええい、今のは嘘だ。あやつが余りにも調子のいいことを言うから脅かしてやっただけじゃ」


だから泣くなと震える小さな背をさすり、お前を怯えさせる憎い賊めはわしが手ずからに討ってやろうと囁く。


「ま、真ですか…?」


信じられない豹変ぶりに私が声を上げればこちらを一瞥してああ、と短い返答。


「本当の所、盈では無理だろうとわしも思っておったのだ」

「陛下、私もお供致します。精一杯陛下のお世話をさせて頂きますわ」

「そうか、お主がおればわしに怖いものなどないぞ。そうじゃ英布を打ち倒した暁には如意を正式に太子に変えてやろう。万事が上手くゆけば戦の帰途にわしの故郷を通る。大きな宴を開く、その場でだ」

「嬉しい…!ああ陛下、お慕いしております…」

「お…お待ち下さい!」


目の前で目まぐるしく展開する茶番を無理矢理に制止する。これでは折角、盈皇子を戦地に送らせずに済んだというのに太子を変えることとなっては本も子もないではないか。


「陛下、一体盈皇子のどこが跡取りとして不足なのでございますか?博識でお優しく、臣の誰もが慕っておりますのに」


戚夫人が陛下に掛けた指に力を込めたのが分かった。陛下も私を怒鳴り付けようと口を大きく開きかけたが―不意にそれを飲み込んだ。


「…あれは…僵屍(きょうし)だ」

「は…?」


目を細め、少し俯きながら随分と間を開けて吐き出すようにゆっくりと、そう言い放つ。


「あれは、一度わしの手で殺したんじゃ。どうして死んだ息子を愛せるか?」

「陛下…」


彭城で、皇子を輿から突き落としたことを言われているのか。私にその極限状態に於ける陛下の心境を想像するのは困難なことであったが、この手にかけたつもりの自分の子が再び目の前に現れたとしたら―その仮定であれば、理解が及ぶ。
その顔を、瞳を覗くことすら業火に身を焼くような苦しみを伴うだろう。


「―っそんなにあの儒子が良いのなら子房、お前を太子少傅にしてやろう!どーせそのひょろひょろの呈では従軍する気もないじゃろうが」

「太子少傅、ですか?」


突然下った勅にぎくしゃくとした返答で答えた。
平たく言えば太子の教育係である少傅を今正に廃さんとしている太子に新しく付けようという陛下の随分と矛盾した命令に戸惑った。


「気負うな、わしが英布めを討つまでの間、都の留守を任せるにあやつだけでは頼りないからな、その間の目付け役だとでも思ってくれれば良い。

それさえ済めば太子は如意じゃから、お前もお役御免じゃ」

「しかし―」

「何度も言わせるな」


軍は勝手に編めと陳平らに伝えておけ、と私に命じ陛下は席を立たれた。

戚、と陛下に呼ばれて夫人ヒクリと顔を上げた。劉盈様物思いにでも耽っていたのか、慌てて陛下の背を追う横顔には私も知る彼女の面影を認められた。
あの妖艶な姿は全て彼女が偽り作り上げているものなのだと思うと、有り触れた形容ながら“傾国”としか言いようのない。

しかし、どこか腑に落ちないように思う。そうまでして如意皇子を太子にせんとしている彼女が劉盈様を戦場へ駆り出すのを妨げることになる進言を彼女がしたのは何故だろうか。劉盈様が敗走しようとも、その後に陛下が当たれば危機を防ぐことが可能であるのを分かっていて陛下はあのような無茶を言っていたはずだ。結果的には彼女の望みに一つ近付いたわけだが、黙っていれば手間を弄することなく如意皇子を太子とすることが出来たのに、だ。


(本当に、このままでは賊が攻め寄せてくると思った…?いいや、それほど愚かな娘にあんな演技がこなせるわけない)






「どうでした?」


出口からすぐの大回廊には陳平が立って待っていた。その脇に僻彊も控えているのを見て私は少しばかり声を荒げる。


「どうしてわざわざこんな所に連れて来るんです?」


僻彊に対して随分と神経質になっている自分に驚いたが、今はどうでもいい。呂家の者達の闊歩するこの宮中に追われる身のこの子を何故伴っているのかをこの男に問い詰めなければ気が済まない。


「怒らないで下さいよー怒り方、静かな分だけ怖いんですから。大丈夫です、ちゃんと理由あってのことで…ほら」

「?」


全然怯えた風もないのに両手をひらひらと掲げるこの男に呆れながらも、顎で示された先を咄嗟に見る。向こうからこちらへ歩み寄る人影、誰であるかを確認して、その人を顎でしゃくってみせた陳平に再び唖然とた。


「…劉盈皇子」

「お久しぶりです、軍師」


渦中の真っ只中にある皇子は少々頼りなげな笑みを浮かべた。


「父上―陛下は何とおっしゃってましたか?」

「皇子ではなく陛下御自身が陣頭に立たれると御決心下さいました…ですが、その暁には太子を如意様に変えるとも宣言なさって…」

「じゃあ事態は良くなったようで、全然中身は変わってないわけですね」

「…いえ、お手を煩わせてまでありがとうございます。母上や叔父が無理なお願いを軍師になさったと聞きました。きっと、私が討伐に出ないで済むだけでも母上はきっと安心して下さると思います」


成人と少年の狭間でゆらゆらと揺れている、未成熟な瞳。幼い頃から多くの確執に板挟みにされている彼の心を思うと、宿命という言葉で片付けてしまうには余りに気の毒だった。
呂后は満足するだろうと彼は言うが、彼女達にとって盈皇子の無事よりも太子の座を奪われることのほうが重大事に違いなかった。これでは、僻彊の身を守り切ることが出来ない。


「…そうでした皇子。私は陛下の勅命により太子少傅に任命されましたので明日より出仕させて頂きますが」

「太子を変えるっておっしゃってるのに、貴方を少傅に?陛下のお考えがよく分かりませんね…」

「いえ、でも丁度良かったです。軍師が私の少傅になって下さるのならば事を進めやすい」

「?」

「張良殿が陛下に謁見されてる間、皇子に相談に乗って頂いてたんですよ」


何の、と視線で問い掛ければ後ろで先程からずっと押し黙ったままでいる僻彊の背を彼は押した。


「母上や叔父の行為は息子とはいえ見過ごせるものではございません。
…私の侍従として僻彊君を頂けませんか?私の囲う者であればいくら母上達と言えども手出しさせずに済みます。それに、少傅の子として私に仕えるのだと言えば誰も不自然には思わないでしょうし」


盲点だった。
確かにそれならばいつ裏切られるかも分からない一方的な取引を呂后とし続けるよりも安全ではある。だが―


「…ですが…劉盈様、私は…」


絞り出すような僻彊の声。そう、この子が刃を向けたのは皇子の母親だ。


「…ねえ僻彊君。
君は…あの時のこと、知ってるね?」

「!」


驚愕の表情を貼付けて僻彊は皇子を凝視する。


「…でも、誰にも言わないでおいてくれたから、そのお礼」

「…は、い」


あの日のこととは。
尋常でない僻彊の反応に訝しく思うがそれがいつを指すのか私にも陳平にも分からぬし、詮索する必要も見付からなかった。この皇子が取り返しの付かぬような過ちを犯すとは思えなかったからだ。
いつも周り不安にさせる程に優しい彼だから、きっとこれも僻彊を納得させるための空言だろうという気もした。


「じゃあ、陛下と私達は英布を討ちに。その間に皆さんで如意皇子が太子の座に着くのを阻止する方法さえ見付ければ、万事は丸く収まるわけですね」


ああ良かった、と人並みな感想をこの男が漏らしたのに彼が本当に僻彊の身を案じてくれていたのだという事が感じられた。


「皇子、貴方が太子の座を保てるよう出来る限りのことはやらせて頂きます」

「ありがとう…でも、無理はなさらないで下さい。そうまでして不相応な身分に着きたいと私は思ってないんです」


回りのことがなければ、私は如意が太子になってくれて全然構わないのだとまで皇子はおっしゃった。このように謙虚で柔和な人が皇帝に即位した後の心労を思うと可哀相にも思ったが、帝国を長きに渡って繁栄させるためにも二代目皇帝の人選を誤るわけにはいかない。

こんな先のことに思考を巡らしている自分が滑稽だった。
すぐにでも“あちら側”からの迎えが来ると思っていた今からでも過去の己を張り倒して、無理矢理でも出仕を続けさせてやりたい位だ。一人の少女を後宮へ入れることを少しでも投げやりな気持ちで許してしまった己の目を覚ましてやれたら。
私が一人よがりな柵を捨て切れていたならば、誰かを不幸にすることを阻止する事が出来たかもしれないのに―


沛県で開かれる宴まで、そう時間は残されていない。



***

校正してる最中でさえ、ぶ…分岐がちらつく…(…)
無理矢理にでも史実に繋げてって悦りたいのが歴史厨のサガです。やっとヘキキョ君を侍従に出来たよ^^^^

さて、狩野英布読み直して、「大漢風」の白文ググってきまーす。
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日々をいかにポジティブに生き抜くかを目標に、少しの事でネガティブ観点に陥る、ありがち日本人。
歌は鬼束ちひろ、詩は谷川俊太郎、ゲームはロックマンシリーズをこよなく愛してます。
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